マイナー病気録

思えば病院とは縁の切れなかった人生。こんな感じで向き合ってきました

歌子を見ていると自分を思い出す

病弱キャラの妹・歌子

 NHK朝ドラの「ちむどんどん」。詐欺師ニーニー(それなのに野放し)の大騒ぎが苦手でもうあまり見ないのですけれど、先週の金曜日はお昼のニュースのままテレビをつけっぱなしにしていて見てしまいました。主人公の妹・歌子が、投げやりに仲間由紀恵演じる母親に反抗的なことを口にしていたのでした。

 気になって、その回を見てみた後、その週の話を確認してみました。「仕事も恋愛も結婚も、何にもできないまま死んでいくと思う」とかヒロイン暢子にも言ってしまう、不明熱が出る歌子が上京して、東京の病院で検査を受けたんですね。なるほど。

 結果は、何が悪いのかはっきりしなかったみたいです。膠原病でも、リウマチでも、結核でもない・・・いつだったか検査を受けた私が言われた話と似ていて、ギョッとしました。

 「いつリウマチを発病してもおかしくない」とは言われたような・・・でも、ようやく原因がハッキリする、ハッキリすれば治療できて治るんだと希望を持っていたところに「よくわからない」と言われてしまうと、心底気落ちしてしまうんですよねえ。たらい回しにあって、最終的に「あれもこれも可能性はあるけれど、ハッキリしない」と何人目かのお医者さんに言われた時に、「なんでわからないんですか・・・」と泣いてしまって、優しそうなお医者さんだったのに困らせたこともありました。

 私も、何かというと発熱してここぞという時に頑張れなかった人なので、歌子の気持ちはわかります。誰かに期待されて、自分も期待して、裏切って。裏切りたくない、頑張りたいのにね。

 思い出すだけでも、家族旅行、修学旅行、卒業式、そして定期テストの時。気をつけているのに、何かイベントがあると決まったように体調が悪くなって発熱していました。知恵熱?とか言われたりして。

 卒業式は、中学も高校も発熱していましたね。でも、もう熱が出るのにも慣れてしまって、発熱していても38度ぐらいまでなら普段通り起きて卒業式も出席しました。でも、汗だくになってひどく疲れるので、その後、1週間ぐらいは寝込むんですけどね。

歌子を励ます、母の言葉がうらやましい

 歌子を自分に重ね合わせてもう一度、金曜日の放送をNHK+で見ました。

 母の優子さんは、その名の通り優しい人。でも、歌子を叩こうとしてましたね。「どうせうちは幸せになれない。うちさえいなければみんな楽になる」と、投げやりなことを言われてお母さんも辛いだろうけれど、本人が一番つらいんだから叩く真似なんかしないで・・・と思ったところで、やっぱりそうはなりませんでした。

 歌子を抱きしめて、そして母の言葉。「歌子だけじゃないんだよ、みんなうまくいかない時がある、どうしようもないこともある(略)偉い人にならなくても、お金が稼げなくても夢が叶えられなくてもいい。幸せになることを諦めずに生きてくれれば、それだけでお母ちゃんは幸せだから(略)生きることを怖がらないで。そばにいるからね」

 ジーンとしましたね。こういうこと、言われたかったなあ。私も似たようなことを言った時に、母は背を向けてしまったから・・・。でも、母も辛かったんだと今になると思うんですけどね。

toyamona.hatenadiary.jp

 小学校2年生の頃に「死にたいなあ」と初めて思い、怖くて実行できなかったけれど、その後ずっとそんな気持ちに付きまとわれてきたのも、母に励ましてもらうどころか、しつこく言葉の嫌がらせをされて、いつも泣かされてきたから・・・人生の半分以上は希死念慮には付きまとわれて悩まされましたが・・・いつだったか、それを忘れました。

 熱が出てつらくて寝ていると、時間がムダに過ぎていくような気がして自分でも自分のことを価値が無いように感じてしまいます。けれど、実際のところは寝ていれば熱も下がるので、その時間は全然ムダではないのです。「今、体が頑張ってくれているんだ」と思えればいいんですけれど、どうしても無価値に思えてしまうのは周りと比べてしまうからでしょう。

 きょうだいとか、お友達とか・・・「家族はみんな温泉に行っているのに、どうして私だけおばあちゃんの家で寝ているのか」とか。食いしん坊だから「みんな美味しいものを旅館で食べているのかな」とか考えちゃって、余計気持ちまで辛くなって。その日の夜は、発熱して寝ている間に無意識に歩き回るという、夢遊病騒ぎも起こしたのでした。

 人と比べていいことは、何もありませんね。今思い出すと、祖母も祖父もとても優しかったです。祖父母の家に行くのが好きでした。

寝ている時間を、少しでも価値あるものに

 体調を崩して寝ている時に、何かプラスにできると良いんですけどね。小さい頃は本を読んでみたり(でも、ハアハアと口で息をするぐらいつらい時には、そんなことも何にも手につかない訳ですけれど)。

 もちろん、大人になってからはBGM代わりにラジオをオンにしておいたり、テレビをどんよりと何を見るでもなく見たり。電気の無駄というなかれ、気分を紛らわせつつ熱を下げるために時間を経過させるには、仕方ないのです。

 そうそう、最近はお気に入りのYouTubeを聞いていたりもできるし、本を読み上げてくれるサービスのアプリがありますね。子どもの頃はおとなしく時間が過ぎるのを待つしかなかったのに、大人になった今は自由に選択肢を選べ、かなりマシになりました。

 もちろん、私をいたぶる母もいませんし・・・おっと、昔の惨めさを、今になってご丁寧に思い出す必要も無いですね。

目の前の私は「元気な人」にしか見えない

 ただ「病気知らずで生きてきて、それがみんなは当たり前なんだろうな」と、思い知らされてしまうこともあります。先日のコーラスの定期演奏会の後、私は数日寝込んだことをうっかり団員の前で言ってしまって「わー、そんなに寝ていられてうらやましい」と、何気なく言われてしまったのでした。

 体調が悪くなって辛い➡だから寝ていないといけないんですけれど、その体調悪化の前提が、彼女の頭からは抜け落ちています。「はー、そうなんだ、体調が悪くなることなんか滅多にないんだろう、動けないことがどういうことか分からないんだろうな」と思うと、人と比べることは止めようと思っても、やっぱり羨ましい。そんな気持ちにもなります。

 自分からは、病弱キャラを声高に言いたくはないのですけれども・・・困るのは、何かタスクを引き受けてほしいと依頼される時です。そうすると、相手の気を悪くさせないように、実情をアレコレ説明しなければなりません。

 外出して人に会えるのは元気な時だけ、体調管理や諸々がうまくいった時だけです。ですが、他人には目の前でハキハキと話をしている私は「元気な人」にしか見えていない訳です。混乱するでしょうね。

 そこで押し切られてうっかりやる気を見せてタスクを引き受けてしまって、できなくなれば余計にご迷惑がかかりますよね。自分でも、やりたいなーってことありますよ。ちょっとやって差し上げたら、助かるんだろうな。できないことは無い、でも、やってみてその後寝込むことになったら・・・締め切りもあるから、やっぱり無理かな・・・とグルグル考えます。

 このブログみたいに、体調の良い時だけチョロチョロ書いていれば良いわけじゃないですし。

 それで、何度も頼まれたので持病たちのバランスを取りながら生活している状況を説明して、「締め切り無し」を条件にある文章を書くことをお引き受けしたこともありました。でも、大失敗。結局持病が酷くなって、お相手も待てなくて、完遂できなかったのです。

 お相手は最初の私の説明を聞いていたのに、病気だなんて信じられなくて「そうは言っても大丈夫でしょ」「いつになったらできるの、遅い」と思っていたと・・・ご迷惑をおかけしたことをいっぱい謝って、お許しくださったけれど、結局ご縁は切れました。嫌われちゃった。

 私の状況を快くご理解いただくことは、一般の健康人には難しいことが分かりましたので、それからは何もお引き受けしないのが双方にとって一番良いと判断しています。けれど、説明しても「やりたくないだけね」と受け止められたりすることもあって「そうじゃないのに」と。悲しいですね・・・😢

 いつだったか、お仕事をお断りして「あなた、ミュンヒハウゼン症候群って知ってる?きっとそれよ」と、医者でもない人に言われてしまったこともありましたよ。ミュンヒハウゼン症候群 - Wikipedia

 呆気にとられました。酷いですよね・・・自分が元気だから、持病てんこ盛りの人が存在するなんて信じられないのか、断られた腹いせなのでしょうか。「私だって元気で毎日を過ごしたいことが分かりませんか?」と言いたかったですよ。行きたい&やりたいことが、私にも沢山あります。

 「ちょうど都合よく体調が悪くなるのね」と言われて、泣いたこともあります。いえいえ、基本的には体調が悪くて、出てくるときだけ体調が良いんです。逆なんですよ😢

 今は、一昨年からの治療で回転性めまいが治り、かなり明るい毎日になりました。まさに激変、普通人に少し近づいたかな? その他も、歌いすぎたり活動しすぎたりの欲張りさえしなければ、低空飛行なりにちゃんと暮らしていけています。お寺さんで「当病平癒」のお札を、毎年貰わなくてもいいようになりたいものです。

 「ちむどんどん」はフィクションだけれど、歌子ちゃん、きっと大丈夫。まだ今はダメでも医学だって進歩して後々わかるようになることがあったり、わかるお医者さんは探せばいたりすることを、病弱おばさんは知ってますよ。にがい煎じ薬を我慢して飲んだり、体力温存しておけば、ちゃんとそれなりに幸せに生きていけますよ。

 どうせいつかは死ぬんです。その日まで、しっかり生きていきましょうね。