マイナー病気録

思えば病院とは縁の切れなかった人生。こんな感じで向き合ってきました

あさイチで見た「役立つ患者術」

「医師が患者になって初めてわかった」点

 今放送中の朝ドラ「ちむどんどん」が嫌で、それを避けようとするあまり、すっかり見なくなった「あさイチ」。おかげで見逃していたんですが、8/31に「医師が患者になって初めてわかった実際に役立つ”患者術”」という特集が放送されていました。

www.nhk.jp

 気になりますね・・・気になりますよ。つい先日も勝手に「ヤブ認定」させていただいたお医者さんへの愚痴なんぞを書いてしまった私ですから(お医者さんに「その後」を伝えるすべがあれば - マイナー病気録 (hatenadiary.jp))。気づいて、慌ててNHK+をチェック。昨日、ギリギリで見ることができました。

 出演されていたのは、米国テキサス州の大規模がんセンターのお医者様。テキサス大学MDアンダーソンがんセンター准教授の上野直人さんでした。人の良さそうな、柔和な印象の方。ご自身で血液の癌を発症し、死ぬ可能性もある成功率70%の骨髄移植について、悩んだ経験をお持ちです。

 実は発症前に上野さんが書いた本として、番組で紹介されていたのが以下の2冊。

  • 一流患者と三流患者 医者から最高の治療を引き出す心得
  • 最高の医療を受けるための患者学

 患者としては、かなり気になる(気に障る?)言葉が並んでいます。なんだ「三流患者」って・・・でも、いざ患者になってみたらセオリー通りにはならず、本で書いたような理想と、現実とのギャップに上野さんは直面したんだそうです。

 著書で、上野さんは

  1. 質問上手になろう
  2. エビデンスに基づいた治療を受けよう(だったかな?)

といったことを患者向けに書いていたそうですが、患者になって実際に感じたのは

  1. 医師に質問をするって難しい。リストまで作っておいたのに「忙しいのに迷惑をかけるかな」と萎縮してしまい、質問をためらってしまった
  2. 代替医療を探してしまう。視野狭窄に陥って根拠のあいまいな治療のネット情報にのめり込む

・・・となってしまったそうです。お医者さんでもそうなのかと、びっくりしますね。

1:担当医は友人ばかり、それでもためらう「質問」

 特に、①の医師への質問は、普通の人よりも容易なはず。それでもやっぱりためらうんですね。上野さんは、医学知識を持っているのはもちろんのこと、担当医は全員友人で携帯番号も知っているような間柄。一般患者よりも、質問に関しては明らかにアドバンテージがあります。

 「3分診療」とも言われる時間的制約の中で患者が聞きたいことを聞くには、「質問メモ」をまとめておくことが一番だと私も思います。でも、私でも気圧されて、やっぱり全部なんか聞けないんですよね。「忙しいのにうるさいと思われるかなー」「こんなこと聞くの?って怒られないかなー」等々、患者側も考えちゃいますから。

 そこで!患者を経験した今、上野さんが医師に質問するためにお勧めのコツはこちらだそうです。メモメモ。

  • 誰かと一緒に受診する
  • ワンクエスチョンを習慣化する

 1つ目。誰かと一緒に受診することで、お医者さんに変に遠慮する弱気な態度も改まるかもしれませんね。隣から「アレを聞くんでしょ?」と水を向けられれば、準備したメモも出しやすいでしょう。

 2つ目の「ワンクエスチョンの習慣化」も、質問癖をつけてしまえば、お医者さんに対してそう構えることもなくなるかもしれないです。お医者さんの側も、この人は色々と聞いてくる人だと心の準備ができるでしょうし。

 私は色々と聞きたいので、この質問については習慣になっています。時にはワンクエスチョンには収まらないですが、私の健康を預かっていただく先生との大事なコミュニケーションだとこちらは思っているし、早く健康を取り戻したいからこそ、知りたいことがたくさんあったんですよね。

 上野さんは、お医者さんがお忙しいような場合は「時間を別に作ってください」と言うといいとのこと。「患者側からそんなお願いしてもいいんだ!」と目から鱗の奥ゆかしい視聴者もいたかもしれません。お医者さんが、そう言ってくださると安心ですね。

 ところで、質問すると居丈高で「何聞いてくるんだ、うるさいな」と明らかに嫌がるようなお医者さんもいますよね。ホントに人柄が分かります。

 医師が上、患者が下だと考えているような先生は、いざとなると自分を守り、患者のこちらを守ってくれないことは経験上身に沁みました。だから、威張り腐っているようなお医者様とは、積極的にサヨナラするようになりました。

 もちろん、きちんと質問に答えてくださるお医者さんは、たくさんおられました。念のためですけれども。

頼りになる看護師さん 

 それから、視聴者さんからのご意見で、事前に看護師さんに質問をしておくとワンクッション置いて診察室でお医者さんから回答が返ってきていいですよ、といったお勧めもありましたね。これも1つ目の「誰かと一緒に受診する」の亜種かもしれないですが、いいアイデアだと思いました。

 看護師さん、頼りになりますよね。私も評判最悪のセクハラヤブ医者から助けていただいたことがありましたよ。

 激痛と高熱に苦しみながらの初診。アスピリン喘息の持病を伝えたら、婦人科の医師が「え?アスピリンを出しておけばいいの?」と答えた時に(多分からかってきてたと思います・・ヤな奴)、横から「先生、この患者さんを殺す気ですか?😠」とドスの利いた低い怒り声で医師を黙らせ、叱り飛ばしてくださいました。

 ホントに、こちらが病気で気力と体力を削がれているときに患者を不安にさせて楽しむなんてサイテーのあのヤブ医者。看護師さん、その節はありがとうございます!

 その後も、他院に異動になるまで色々とこのセクハラヤブ医者には悩まされましたが、助けになってくれたのはいつも看護師さん達👼 しかし・・・あ~色々と思い出して頭に来てしまいましたよ😡

2:代替治療を求めてしまう患者心

 脱線しました。さて、医療には「標準治療」というものがあって、その時点で最も信頼される確立した治療法だと聞いたことがあります。それに対して存在する「代替治療」。標準治療よりも信頼性が劣る治療法だと・・・私の理解はそんなところですが、大体合ってますか?

標準治療とは何でしょうか?

 日本語で、標準治療と言いますと、“並の治療”“平均的な治療”のように聞こえてしまうかもしれません。標準治療とは、英語の“Standard therapy”を日本語訳したものですが、わかりやすく言うと、“最善・最良の治療”のことです。

 最善・最良の治療は、どうやって決められるのか?と言いますと、基礎研究、臨床研究の結果、決定されます。(標準治療って何? ~標準治療はどうやって決まるのか?標準治療の誤解~(下) | ヨミドクター(読売新聞) (yomiuri.co.jp)

 上野医師は、自分で血液の癌を患ってみて「他の人と変わらない、弱い患者である」との感慨をお持ちになったそう。視野狭窄になって、標準治療とは違うネットで魅力的に見えたサプリメントを買い、飲んでみたそうで、「お前バカか」と担当医の友人に言われたそうです。

 結局、正解だったのはいつも自分が標準治療に沿って患者さんにお勧めしていた物だったそうですが。同じ人間ですね・・・。

 それで、今だから上野さんが言える、怪しげな治療に飛びつかないコツとしては

  • 検索時、病気の一般名と共に医学的な正式名を入れることで情報の精度が上がる
  • 調べた情報を医師と共有。1~2ページをプリントアウトして持参する

 なるほどですね、一般名だけだとぼんやりした情報になってしまうか、下手をすると患者目当ての詐欺まがいのサイトが出てきちゃうかもしれないですよね。医学的な正式名称は、お医者さんに教えてもらうといいとのことでした。

 それと、私の場合は普通に検索するのではなくて「グーグルスカラー」という研究者向けのブラウザを使って検索したこともあります。これもお勧めです。

 2つ目ですが、「余計なことをするな!と主治医に怒られるから調べたことを共有するなんて嫌だ、できない」と患者は思うかもしれないけれど、漢方薬サプリメントは、副作用も怖いから勝手に飲まずに相談したほうが良いよ、という話でした。

 漢方薬には副作用が無いと信じ込んでいる人もいるそうですが、そんなことはないですよね、薬ですから。他の薬との飲み合わせを考えると、聞いたほうが良いんでしょうね。

 私も、対コロナのイベルメクチンについては、意を決して主治医に相談しました。ワクチンも打てないし治療薬もない、このままでは何の防御もない状態で、国もワクチンを打てない私なんかはほったらかし。悩んだ末です。

 個人輸入したことを打ち明け、見せたところ、体質上問題ない薬だと言っていただき「これは今までの風邪とは違う、これはおかしい絶対変だと思う状態になったら、飲んでみてもいい」と許可してくださったので、安心できました。

 もう相談したのもかなり前になりますね・・・今は何て言われるでしょうね?

3:最後の決断ができない時は

 医師からすると「何を悩む、選択肢は決まっているじゃないか」と思うようなことで悩むのが患者。やはり上野医師も、自分で選ぶべきは成功率7割の骨髄移植だとはわかっていても、患者としては最後まで悩んだようです。

 そこで相談したのは、自分の受け持ちの患者さんたち。「あなたの人生で何が一番大切か考えて。自分らしさって何?」と問われ、自分がどう生きたいのか?核となる価値観(core value)は何か?と立ち返って考えることができ、骨髄移植を決断できたそうです。

 そうですよね・・・いくら成功率が7割と高くても、失敗の3割側に入って命を落とすかもしれないのだから、なかなか決断できないのも当たり前。自分の人生だから、自分の core value に従って決めることしかできないですね。

 こうやって悩んで答えが出ない時、「先生のご家族だったら?お母さんならどうお勧めしますか?」と聞くと医師の本音が聞けるとの話も出ていました。これ、正に亡父の癌治療の際に、ある代替医療について緩和ケア病棟の医師に聞いたことがあります。可能性があるならと、転院も考えていた時でした。

 そうしたらきっぱりと「私の親なら反対します。その治療にかかる金銭をお父さんとの思い出のために使ってください」と言われました。それで、諦めました。

AI問診、早く実用化させてほしい

 「あさイチ」の特集では、その他にもギランバレー症候群の重篤なタイプを発症した脳外科医の方と、小脳梗塞で酷いめまいに襲われたお医者さんの話も出てきました。体の機能を失っても、今はiPadなどITの進化によって生活改善ができる例は希望ですね。

 ただ、このおふたりについては駆け足で・・・お医者さんの奥さん(この方もお医者さん)もスタジオに来ていて家族としての考え方(自分のしたいことも諦めないで)についても話していたのに、時間が無くてもったいないなあと思いましたね。

 そうそう、AI問診の話も出ていましたよ。

 タブレットなど端末に色々と質問に対する選択肢が表示されて、それを選んで入力していくと、それがそのまま電子カルテのデータになるというもの。このAI問診を待合室で患者さんが済ませておけば、診察室で医師が電子カルテの入力など事務作業にかかりきりにならず、患者さんの顔を見て診察できるようになるだろう、との話でした。

 これ、やっとですか。待ってました。以前から、手書きの問診票を何とかしてほしいと思っていましたよ。

 だって、これまで経験した病気とかアレルギーのこととか使える薬、禁忌の薬など、私の場合は書かねばならないことがとにかく多くて、毎回嫌になるんです。ほぼ書く欄が足りず、小さい字で細々書くのが大変なので、可能な場合は、持ち歩いている自分の病歴等をエクセルに打ち込んだメモをコピーしてもらっていました。

 これまではコピーを紙のカルテに貼り付ければよかったでしょうけれど、今は電子カルテです。きっと、打ち込む作業が大変ですよね。「だったら、最初から私が打ち込むのに」って思っていたのです。入力フォームでも用意されていて、パソコンが待合室にあればいくらでもこちらでやりますと、ずーっと思っていました。

 この問診票の記入が嫌で、新しい医療機関に行くのを何とか回避しようとしているくらいです。AI問診になってくれたら、助かりますよー。

 本当にもりだくさんな「あさイチ」。このAI問診だけでも、じっくり進捗状況など紹介してくれたら・・・そんな風に思いました。